石焼き芋屋の歌とマカーム(モード音楽)の意外な関係とは

都内で音楽ラボを営み
民族楽器で音楽制作をしている
スワラジのウエダタカユキです

ギリシャやトルコ、アラビアではマカーム、
インド音楽ではラーガ
ペルシャではダストガーとよばれ
これらのモード音楽には
音階や奏法などの総合的なパターンがあります
これを旋法ともいうのですが
ちょっとしらない言葉ばっかりで
聞き馴染みがないですよね。。。

そこで今回は
いーしやーきいも〜

わたしたちが慣れ親しんでいる
石焼き芋屋の歌とマカーム(モード音楽)との関係性などを
紐解いてみましょう!

焼き芋屋のうたにマカームを感じるイスラム人のこころ

焼き芋やのうたは
いかにも日本の庶民的な風景の象徴のように
感じるかもしれないですが
風情を感じるのは日本人だけではありません

たしかにスピーカーで大音量で迫ってくると
うるさいなーと感じることもありますが

冬の夕暮れに遠くで聞こえると
なんとなく風情のようなものを感じることもありますよね?

この焼き芋屋の歌
イスラム圏出身の方には
なんと礼拝のよびかけアザーンのように聞こえるのです

焼き芋やのうたとイスラムのアザーンを一緒にすると
怒られちゃいそうですが、
実は意外な共通点があります

それはどちらも単旋律の奏法
つまり今の音楽(西洋音楽)の和音(ハーモニー)ではなく
ひとつのメロデイだけが連なる朗唱をしているからなんです。

焼き芋ややイスラムのアザーンのような
ひとつのメロデイで朗唱されるものには

ヨガのマントラがあります
そして西洋音楽の礎ともなった
古代ギリシャの音楽も
ひとつのメロデイ(単旋律)で構成された
モード音楽であったというのは
世界最古のメロデイのひとつともされる
セイキロスの墓碑銘をみても明らかでしょう

セイキロスの墓碑銘(セイキロスのぼひめい、セイキロスのスコリオンとも)は、完全な形で残っている世界最古の楽曲である。墓石に歌詞が刻まれており、歌詞の行間には古代ギリシアの音符による旋律の指示がある。墓石はエフェソスの近隣にあるトルコの都市アイドゥン(Aydın)近郊で発掘された。年代は紀元前2世紀頃から紀元後1世紀頃と推測される。古代ギリシアの音楽としては、これより古いものも存在する。だが短いながらも完全な形で残っている楽曲はこれが最古である。

https://ja.wikipedia.org/wiki/セイキロスの墓碑銘より引用

マカームはどこから発生したの?

中東音楽において
メロデイを奏でる法則のことを
マカームといいます

マカームの発生源においては諸説ありますが
地方の名前などから名付けられるケースもあります

  • Nihavend  イランのナハバンド地方
  • Hicaz   アラビア半島東岸部のヒジャーズ地方

ナハバンドといえばかつて
アラビアとペルシャの軍隊が激突した古戦場でもありますが
今はペルシャ絨毯の産地にもなっています

テキスタイルの世界も地方により
さまざまなパターンがあるので
もしかしてマカームの世界もそれに少し似ているかもしれませんね。

Kurdiというマカームもありますが
ヨルダンのアラビア語学院の教授Nidal氏によると
家族や国を想うときに使われまた、クルド人の間でも人気があり
そのため「Maqam al-Kurd」と呼ばれているとのことです。

Maqamat (Arabic musical odes) are 8 scales in number. Contained in the mnemonic (Made by your magic).
Today’s lesson is about Maqam Kurd. This maqam is distinguished with its use in longing for ones family or country. It is also popular amongst the Kurds. That is why it is called Maqam al-Kurd.

Maqam Kurd: Maqamat (Musical Odes) Overview

マカームのいろいろな効果

石焼き芋のうたにも
みられるように
音を伸ばすポイントや
立ち上がるポイントにおいても
独特の節回しのようなものをかんじることができるとおもいます

マカームもこれと同じように
メロデイが上昇するポイント
下降するポイントに応じて微妙に変化するので

ただの音符と音程というのではなく、
旋法
つまりメロデイのガイドラインのような存在だということが
理解できます。

以前私は東京ジャーミィのイマーム(導師)に
直接きいたのですが
礼拝の呼びかけやコーランの朗唱においてもマカームが使われて
時間帯や曜日によって使い分けるということでした。

長いあいだ
中東と地中海世界の中心的な役割を果たしてきた

オスマン帝国の伝統を引き継いだトルコでは
モスクにおいてもこのようにマカームを使い分けているのですね😌

ちなみに私が長く過ごしたモロッコでは
トルコのアザーンのような
メロデイアスなマカームをつかった礼拝の呼びかけではなく

それこそ焼き芋やのような
シンプルなメロデイラインで礼拝の呼びかけの声が街に響いていました

ただモロッコでもフェズという
古都においては、例外で

他のモロッコの地域とは違い
トルコのような
洗練されたアザーンでした。
それもそのはず、モロッコのフェズには世界最古の大学
アル=カラウィーン大学があるのです😊

マカームを理解する方法

一見すると
聞き馴染みがないマカームという言葉ですが
意外にも私達の暮らしに身近な
焼き芋やにも通じる世界。

このマカームを理解するのにかかせない方法が
タクシームだと私は考えます

なにそれ?また知らない言葉?

すみません、カンタンにいうと即興演奏のことです😌

中東の音楽で本編に入る前に
無拍のリズム(ビートを刻まないフリーリズム)で
楽曲でつかうマカームにそって

もとの音からはじまり、もとの音にもどる
即興演奏することがよくあります
これをタクシームといいます

久しぶりにあった友達と
いきなり要件だけ話して
はいおしまい!
じゃないですよね?

まずは天気のお話からはじまり
体調とかいろんなことを話してから
要件にすすみますよね

それとおなじように
マカームを深く味わうためには
タクシームというシステムをつかって

これからこんな雰囲気でやりますよー
これからこんな音階つかっていきますよー

と少しづつベールの下の本編に近づいて行くプロセスを
味わうシステムとして使われます。

さきほどご紹介したアザーンも、コーランの朗唱も、ヨガのマントラも
焼き芋やのうたも
基本的にはおなじように
もとの音からはじまりそこへ帰着するパターンをとっています。

なので譜面を再現するだけではなく
マカームをよーく噛み締めて理解して
自由に使えるようになるためには
タクシームはとてもとても重要です。

このように一見
焼き芋やみたいなシンプルなメロデイにも
モード音楽の世界に
マカームの世界に通じるような
生涯を通じて学び続けることができる
深遠な世界が広がっています

スワラジ音楽ラボではレッスンライブ演奏などを通じて
そのことをお伝えしていければ幸いです😌

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