世界を旅して楽器を収集、研究しつつ
東京で民族音楽ラボを営むスワラジウエダタカユキです
今日はパキスタンで出会った不思議な楽器
チトラールのシタールについて深堀りしますね
シタール?
インドのあの有名なビヨーンミヨーンした音の楽器?
インドのシタールの起源にもなったとも
考えられる
パキスタンの山岳地帯チトラール地方にのこるシタール
はこの地方に古くから受け継がれている楽器です。
バイオリンやリュートなど
ショートネック系の起源が
アフガニスタン周辺が起源なのではないかと説があり
先日ガンダーラ彫刻のレリーフととも解説しましたが

チトラールのシタールやトルコのサズ、インドのシタールのような
ロングネック系のリュートは
音楽史家のカート・サックスの1941年の著書『楽器の歴史』によると
最古のリュートは紀元前2000年頃とされています
芸術におけるリュートの存在がより明確になったのは、紀元前2330年から2000年の間(第二次ウルク時代)で、芸術が楽器を明確に示すのに十分な詳細さを持っていた頃です。リュートはヒッタイト人、エラム人、アッシリア人、マリ人、バビロニア人、フリア人の間で広まりました。1500年頃までには、リュートは征服によってエジプトに到達し、紀元前320年にはエジプトと東の隣国を経由してギリシャに到達していた。
History of lute-family instruments

これは想像ですが
アレクサンダーの軍隊の中に
楽器が得意な人がいて
軽くて持ち運びもカンタンな
シトラールのシタールのような
楽器を中東オリエント世界から
パキスタンの山岳地帯に伝えたとも想像できます
もちろん戦争は好ましい出来事ではありませんが
文化財の交流の上には
効果的に作用することがあるのは事実かもしれないです。

ヘレニズム世界で培われた
仏教美術もシルクロードを通じて
日本にもたらされて、国づくりで
重要な基盤になったことをおもうと、
遠く離れた異国の物語ではなく
同じユーラシア大陸の文化圏として
関連を感じることもできます😌
シトラールシタールの奏法に関しては、本来
イランのセタールのように人指し指の爪で
弾くのですが
スワラジ民族音楽ラボの録音では
手首を振り下ろす奏法で
マケドニア、ブルガリアに伝わる変拍子の曲
Sandansko OroをアルバムKarakoramに収録しました
東欧のマケドニアとパキスタンの北西部
5000kmも
遠くはなれた地域ですが
2000年以上の時を経てもなお
チトラールのシタールでマケドニアの曲を
合わせることもできるので、やはり
アレクサンダーの末裔伝説は本当だったのかもしれませんね。